税理士、社労士、行政書士などの士業は、相談の獲得にメールマガジンがよく効く業種です。
理由は2つです。お客様である経営者や担当者が日常的にメールで仕事をしていること、そして依頼を決めるまでに時間がかかることです。この2つの条件がそろう業種は多くありません。
ただし、メールマガジンなら何を送っても相談が来るわけではありません。「今月の税務のポイント」を淡々と送り続けても、読まれはしても相談にはつながらない。
この記事では、士業にメールマガジンが向いている理由を整理します。そのうえで、相談につながる配信の内容と、サイトから登録してもらう導線の作り方を説明します。
士業にメールマガジンが向いている3つの理由
一つ目は、お客様がメールで仕事をしていることです。経営者、経理や人事の担当者、相続を控えた個人。いずれも、重要な連絡はメールで受け取る習慣があり、届いたメールを開く土台が最初からあります。
二つ目は、決めるまでに時間がかかることです。顧問契約や手続きの依頼は、思い立ってすぐに決めるものではありません。数週間から数か月、決算や期限が近づくまで比較と検討が続きます。
その期間に定期的に名前と考え方が届いていることが、「そろそろ相談しよう」となったときの選ばれる理由になります。
三つ目は、期限と制度の変更が定期的にあることです。「今年から変わった点」「この時期までにやること」は、それ自体がお客様にとって価値のある情報で、読む理由になります。
「いま探している人」だけを追わない
士業のサイトの多くは、「税理士 〇〇市」と検索して、いますぐ依頼先を探している人だけを相手にしています。この層は全体のごく一部で、同業者が奪い合っています。
一方で、まだはっきり動いていない人は、その何十倍もいます。「顧問を変えたほうがいいかもしれない」「そろそろ相続の準備をしたほうがいいのか」という人たちです。
メールマガジンの役割は、この「まだ相談する気になっていない人」に、時間をかけて相談する理由を渡すことです。母数の違う場所から相談が生まれるので、価格や地域で比べられる競争から抜けられます。
相談につながる配信の内容
相談につなげるには、3種類の内容を組み合わせます。
一つ目は、期限と変更の案内です。「〇月までに提出が必要な書類」「今年変わった制度の要点」で読む理由をつくり、いま動くべきことを知らせます。
二つ目は、相談の実例です。「こんな相談を受けて、こう整理した」を、個人が特定されない形で書きます。読んだ人が「自分も同じ状況だ」と気づき、相談の入口がどこにあるかが分かります。
三つ目は、事務所の考え方です。「どんな依頼を引き受け、どんな依頼は断るか」「初回相談で何を聞くか」を書きます。すると、選ばれる理由と、相談するときの安心が生まれます。判断基準を先に渡す事務所が、いちばん信用されます。
そして毎回、最後に相談の入口を一つだけ置きます。「初回相談の申し込みはこちら」の一行と、申し込みページへのリンクです。毎回同じ場所に同じ入口があると、読み手は「相談したくなったらここ」と覚えます。
頻度は月に2回から週に1回、長さはスマホで1〜2分で読める分量にし、長い解説はサイトの記事に置いてリンクで案内します。
サイトから登録してもらう導線
メールマガジンは、登録してもらわなければ始まりません。士業のサイトで登録が集まりやすいのは、手元に置いておきたい資料を、登録と引き換えに渡す形です。「今年の主な提出期限一覧」のような資料です。
無料だからこそ、いちばん役に立つものを渡してください。登録の入口で受け取った価値が大きいほど、その後の相談につながります。
制度の解説記事の最後には「変更があったときにお知らせします」と登録の案内を置きます。そして、いますぐ相談したい人は相談へ、まだの人は登録へと、二つのボタンを分けます。
登録直後には、自動で届く数通のメールを用意し、事務所の考え方と相談の流れを最初にまとめて伝えます。
メールは、相談の「きっかけ」を届ける手段
士業のメールマガジンの目的は、読者を増やすことではなく、相談の申し込みを増やすことです。
期限と変更の案内で動く理由をつくり、実例で自分ごとにしてもらい、考え方で選ばれる理由を残す。そして毎回、相談の入口を一つ置く。この形を続けると、「そろそろ相談したい」と思った瞬間に、最初に思い出してもらえる事務所になります。
