税理士、社労士、行政書士などの士業は、相談の獲得にメールマガジンがよく効く業種です。

理由は2つです。お客様である経営者や担当者が日常的にメールで仕事をしていること、そして依頼を決めるまでに時間がかかることです。この2つの条件がそろう業種は多くありません。

ただし、メールマガジンなら何を送っても相談が来るわけではありません。「今月の税務のポイント」を淡々と送り続けても、読まれはしても相談にはつながらない。

この記事では、士業にメールマガジンが向いている理由を整理します。そのうえで、相談につながる配信の内容と、サイトから登録してもらう導線の作り方を説明します。

FIG 01 / 3つの理由士業にメールマガジンが向いている3つの理由01お客様がメールで仕事をしている経営者・担当者・相続を控えた個人02決めるまでに時間がかかる決算や期限まで、比較と検討が続く03期限と制度の変更があるそれ自体が読む理由になる3つがそろう業種は多くない。士業はそろっているPROGRESS
図1メールが読まれる土台が、最初からある業種。

士業にメールマガジンが向いている3つの理由

一つ目は、お客様がメールで仕事をしていることです。経営者、経理や人事の担当者、相続を控えた個人。いずれも、重要な連絡はメールで受け取る習慣があり、届いたメールを開く土台が最初からあります。

FIG 02 / 選ばれる理由3つの条件が重なって、選ばれる01開く土台がある経営者や担当者は、重要な連絡をメールで受け取る02検討の間、届き続ける顧問契約や手続きは、期限まで数週間〜数か月の比較03読む理由が定期的に制度の変更と期限は、それ自体が価値ある情報04相談の瞬間に選ばれる名前と考え方が届いていた事務所が、最初に思い出される土台・時間・読む理由。この3つがそろう業種は多くないPROGRESS
図23つの条件が重なって、相談したくなった瞬間に選ばれる。

二つ目は、決めるまでに時間がかかることです。顧問契約や手続きの依頼は、思い立ってすぐに決めるものではありません。数週間から数か月、決算や期限が近づくまで比較と検討が続きます。

その期間に定期的に名前と考え方が届いていることが、「そろそろ相談しよう」となったときの選ばれる理由になります。

三つ目は、期限と制度の変更が定期的にあることです。「今年から変わった点」「この時期までにやること」は、それ自体がお客様にとって価値のある情報で、読む理由になります。

「いま探している人」だけを追わない

士業のサイトの多くは、「税理士 〇〇市」と検索して、いますぐ依頼先を探している人だけを相手にしています。この層は全体のごく一部で、同業者が奪い合っています。

一方で、まだはっきり動いていない人は、その何十倍もいます。「顧問を変えたほうがいいかもしれない」「そろそろ相続の準備をしたほうがいいのか」という人たちです。

メールマガジンの役割は、この「まだ相談する気になっていない人」に、時間をかけて相談する理由を渡すことです。母数の違う場所から相談が生まれるので、価格や地域で比べられる競争から抜けられます。

FIG 03 / 母数の違い「いま探している人」だけを追わないまだ動いていない人×数十倍「顧問を変えるべきか」「相続の準備は」と迷っている層情報を集め始めた人READING制度の記事を読み、期限一覧を受け取るメールで考え方を受け取る人EDUCATED実例と判断基準で、相談の理由ができるいますぐ依頼先を探す人×同業者が奪い合う「税理士 〇〇市」で検索する層PROGRESS
図3上の層から相談が生まれると、価格と地域の競争から抜けられる。

相談につながる配信の内容

相談につなげるには、3種類の内容を組み合わせます。

一つ目は、期限と変更の案内です。「〇月までに提出が必要な書類」「今年変わった制度の要点」で読む理由をつくり、いま動くべきことを知らせます。

二つ目は、相談の実例です。「こんな相談を受けて、こう整理した」を、個人が特定されない形で書きます。読んだ人が「自分も同じ状況だ」と気づき、相談の入口がどこにあるかが分かります。

三つ目は、事務所の考え方です。「どんな依頼を引き受け、どんな依頼は断るか」「初回相談で何を聞くか」を書きます。すると、選ばれる理由と、相談するときの安心が生まれます。判断基準を先に渡す事務所が、いちばん信用されます。

そして毎回、最後に相談の入口を一つだけ置きます。「初回相談の申し込みはこちら」の一行と、申し込みページへのリンクです。毎回同じ場所に同じ入口があると、読み手は「相談したくなったらここ」と覚えます。

頻度は月に2回から週に1回、長さはスマホで1〜2分で読める分量にし、長い解説はサイトの記事に置いてリンクで案内します。

FIG 04 / 配信の内容相談につながる3種類の内容種類書くこと読み手に起きること期限と変更の案内「〇月までに提出が必要な書類」「今年変わった制度の要点」読む理由ができ、いま動くべきことが分かる相談の実例「こんな相談を受けて、こう整理した」(個人が特定されない形)「自分も同じ状況だ」と気づく事務所の考え方引き受ける依頼・断る依頼、初回相談で聞くこと判断基準を受け取り、選ばれる理由が残る毎回の最後「初回相談の申し込みはこちら」の一行とリンク相談したくなった瞬間に、ここだと分かるPROGRESS
図4月2回〜週1回、スマホで1〜2分の長さで。

サイトから登録してもらう導線

メールマガジンは、登録してもらわなければ始まりません。士業のサイトで登録が集まりやすいのは、手元に置いておきたい資料を、登録と引き換えに渡す形です。「今年の主な提出期限一覧」のような資料です。

無料だからこそ、いちばん役に立つものを渡してください。登録の入口で受け取った価値が大きいほど、その後の相談につながります。

制度の解説記事の最後には「変更があったときにお知らせします」と登録の案内を置きます。そして、いますぐ相談したい人は相談へ、まだの人は登録へと、二つのボタンを分けます。

登録直後には、自動で届く数通のメールを用意し、事務所の考え方と相談の流れを最初にまとめて伝えます。

FIG 05 / 登録の導線いますぐの人と、まだの人を分ける相談と登録が同じボタン制度の記事×期限一覧を渡す×登録×7日間の自動配信いますぐの人は相談へ進めず、まだの人は登録できない相談のボタンと、登録のボタンを分ける制度の記事期限一覧を渡す登録7日間の自動配信無料だからこそ、いちばん役に立つ資料を渡すPROGRESS
図5登録直後の数通で、事務所の考え方と相談の流れをまとめて伝える。

メールは、相談の「きっかけ」を届ける手段

士業のメールマガジンの目的は、読者を増やすことではなく、相談の申し込みを増やすことです。

期限と変更の案内で動く理由をつくり、実例で自分ごとにしてもらい、考え方で選ばれる理由を残す。そして毎回、相談の入口を一つ置く。この形を続けると、「そろそろ相談したい」と思った瞬間に、最初に思い出してもらえる事務所になります。